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舞台や展覧会など、さまざまな鑑賞活動の記録を綴る。タイトルとの関連はありません。


by turujun
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2005年 08月 31日 ( 1 )

 つい先頃電通のギャラリーで「佐藤雅彦研究室展」をやっていて見に行ったときのこと。そこにあった「アルゴリズム行進」のもとになったワークショップの映像を見ながらでっかい声で感想を述べあうカップルがいた。その内容はだいたい「理屈は分かるが、だからなんだ」ということだったように記憶している。私はそのとき、目の前にあるものを面白いと思うものの、やはりピンと来ない部分もあったので、その意見にも多少共感していた。ただ、それが声高でうるさいなぁとも思っていたけど。
そんなわけで一度見ただけではピンと来なかった私は会期中何度かそこに足を運んだ。そこには、上に書いたもの以外に、デジタルな表現をアナログで再現すること(「ソート」をえんどう豆や人の大小で実践・など)や時間の積層(放り投げられた棒を細いスリットごしにカメラで撮影すると放物線は弧ではなく直線に近くなる)などの展示があった。あとは携帯電話のカメラで順に撮影してアニメーションモードで再生するとちゃんと動画になるフィギュア?もあった。

 私なりに理解したのは、映像展示を除いて、あの展示は作品・表現ではなく技術・構造・方法論だ、ということ。
 この展示の中にあった佐藤雅彦の文章の中に、電通時代にさまざまな表現方法を開発し、広告を作ってきた、というような主旨の文章があった。これは私にとって興味深いというかショックだった。「ポリンキー」「バザールでござーる」をはじめとする彼のつくった数々のCM達は彼の中での一定の方法論をもとに、生み出されていた、ということだから。もちろん、CMクリエイターという人達は、広告を作る上で公然としたルールも暗黙のルールや法則もあるだろうし、個々の人達の個性につながるようなこだわりとかもあるだろう。でも、佐藤雅彦のは、そういったものではなく、フォーマットというか構造という意味での方法論ということで、それは外に向かって公開し、共有することが可能なものということではないかと思う。
 そうであれば、今回展示されたものはそういった表現するための方法の集大成・テーマをもった何かの一歩手前なのであって、一番初めに書いたカップルの感想というのは当たり前なのだ。

あ、あくまでここに書かれていることはツルフィルターを通っていることなので、展示の趣旨を誤解しているかもしれませんが、そうであればごめんなさいです。

 ここで、話は飛ぶが、私は先週末ヨーロッパ企画「囲むフォーメーションZ」を観た。この作品はとある研究所に重大なセキュリティ上の欠陥があったことから、それをカバーすべく右往左往し、結局最悪の事態を招く、という話。もちろんストーリーや細かいエピソードはあるのだけど、この作品の一番の見せ場は9つある部屋でだいたい同じ時間帯に起こったことを一つひとつ見せていくことで、ある場面で「?」と思ったところが別の場面とつながって「!」になるというパズル的な面白さ、つまり見せ方の面白さだ。つまりここで見せているのは、佐藤雅彦研究室展で見せているものと同じなのだ。
 ただ、違いがあるとすれば、佐藤雅彦研究室展は「課題とその回答」がメインであるが、ヨーロッパ企画は「演劇」であること。方法は表現を創るための手段であって、本題ではないわけで、それを見せることを目的にすると、見る側としてはそれこそ佐藤雅彦研究室展におけるカップルのような感想を、もたざるをえないのではないかと思う。

 そんなわけで、私はヨーロッパ企画に対しては物足りないと思ったわけで、その理由は上述のとおりなのだ。でも、以前観た「空前のクイズアワー」(←肝心のクイズが面白くなかった、ということだけしかもう覚えていない…)よりは面白かった。「サマータイムマシンブルース」はチケットが取れなかったので観ていないがどうなのでしょう?映画館で確かめようかな。

【公演データ】
ヨーロッパ企画「囲むフォーメーションZ」@下北沢・駅前劇場
作・演出 上田誠
出演:出演: 石田剛太、酒井善史、角田貴志、諏訪 雅、土佐和成、中川晴樹、永野宗典、西村直子、本多力、松田暢子、山脇 唯/中西武教(ジュース)/首藤慎二(ベビー・ピー)/冨永 茜
by turujun | 2005-08-31 23:56 | 演劇