舞台や展覧会など、さまざまな鑑賞活動の記録を綴る。タイトルとの関連はありません。


by turujun
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「ナイフ投げ師」スティーブン・ミルハウザー

表題作「ナイフ投げ師」をはじめとする、12の短編が収録されている。

死に対して恐怖を抱きつつも魅せられていくような不思議な作品と、現代社会の闇の中に潜んでいる秘密の物語、究極を目指すことでその限界を超え破滅へといたる人とモノを描いた作品など、空想と現実の境界上にある世界が描かれている。幻想的であり不穏な世界観は本当に独特。でありながらも、現実の世界の闇や世代間の断絶を感じさせるところが面白い。

私が特に気に入ったのが、「協会の夢」「パラダイス・パーク」。究極へと向かっていこうとする中で出来上がっていく造形物を、あたかも実在するものであるかのように緻密に描写されているところがスゴイ。特に、死と隣り合わせのスリルに身を投げてきた人々に、最後に本当の危険と恐怖でもって、究極のスリルを与える「パラダイス・パーク」の結末には、すごくカタルシスを感じた。

すごく面白い!と思ったものがある一方で、一度読んだだけではその物語を受け止めきれない作品があるのも事実。読んでいて、ストーリーは分かったが、この結末になるのは何故なんだろう?ということが理解しきれないのが、私的に悔しいところ。

原文はいったいどんなものなんだろう?すごく興味がある。
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by turujun | 2008-06-01 23:18 | 書物