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舞台や展覧会など、さまざまな鑑賞活動の記録を綴る。タイトルとの関連はありません。


by turujun
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米原万里「オリガ・モリゾウナの反語法」

相手を賛美することで、徹底的にけなしたおす「反語法」。反語法と言うと「いわんや~おや」という古典のあれを思い出す私だが、ここでいう反語法というのはロシア語でよく使われるものだととある記事で知り、その良い例としてこの小説が挙げられていたので興味を持ち、読んでみた。

そうしたら、これがめっぽう面白い。約400ページぐらい本であるにもかかわらず、隙を見ては本を開いてあっという間に読んでしまった。一旦読み出すと次が気になって本当に読むのをとめるのが惜しいほど。ってシドニィ・シェルダンか。

内容は、主人公である元ダンサーの女性・志摩が、子供の頃のダンス教師であるオリガ・モリゾウナとその友人でフランス語教師のエレオノーラ・ミハイロヴナにまつわる謎を、奇跡的ともいえる親友との再会と、多くの協力者との出会いを経て解明していくというもの。

小学校時代のエピソードと、謎解きで出会ういろいろな人々と事件、そして収容所でオリガ・モリゾウナとエレオノーラ・ミハイロヴナと一緒にいたという人物の手記や証言をもとに構成されているこの本は、そのエピソードの一つ一つが面白く、また志摩とその親友カーチャの友情の深さが心温まる一方で、登場人物が巻き込まれたスターリニズムの台頭や冷戦といった時代の荒波が生んだ多くの悲劇に戦慄してしまう。その緩急がたくみなのと、話が核心に近づいたところで時間切れになったり、相手の体調が著しく悪化したりと良いところでお預けを食らわされてしまう巧みな構成についつい引き込まれてしまった。
by turujun | 2008-05-25 16:34 | 書物