Three Spells@にしすがも芸術創造舎
2008年 03月 22日
3週間にわたる西巣鴨詣でも今日が最後。
最後はベルギーのダンサー・コリオグラファーであるシディ・ラルビ・シェルカウィとダミアン・ジャレ、アレクサンドロ・ジルベールによるダンス3編。
演目は以下のとおり。
「毛皮のヴィーナス」:振付 ダミアン・ジャレ
出演 アレクサンドラ・ジルベール
「VENARI」:振付・出演 ダミアン・ジャレ
「ALEKO」:振付 シディ・ラルビ・シェルカウィ+ダミアン・ジャレ
出演 ダミアン・ジャレ+アレクサンドラ・ジルベール
以下ネタバレあります。
「毛皮のヴィーナス」は10分と非常に短い作品。舞台中央の床に謎の毛皮の物体が出てきて、もぞもぞと動いているうちに、素足がするりと伸び、続いて人の胴体がずるっと出てきて、最後には毛皮と格闘の末、脱皮し、美しい黒いドレスの女になる、という作品。
冒頭の毛皮をかぶった何かが手を伸ばし、動くさまは、はじめからだのどこがどのように動いているのか分からなかった。手にあたる部分が開いたり閉じたりしているときは、毛皮だと分かっていても海洋生物の何かに見えてしまった。
最後の毛皮を振り回し、引きずり回すところは、出産のようでもあり、ムリヤリ毛皮を引き剥がされているようでもあり、そこにあるイメージは、美しくはあるものの、普通のコンテンポラリーダンスに見られるような抽象的なものではなく、もっとリアルでグロテスク。さらにラストで「ふふっ」と笑って舞台袖に去っていくのは、何ともいえず恐い。
「VENARI」というのは、ラテン語で「狩をする」という意味。「毛皮のヴィーナス」の冒頭で毛皮が置いてあったあたり(だったと思う)に、今度は鹿の角と思しきものが置いてある。そして下手から出てきたダンサーがそれに覆いかぶさったりしているうち、暗転ののち、それを頭にかぶる形になる。といっても頭には角があるが、顔は分からない。
その状態で舞台上で動き回っているうちに、いきなり大きな音がし、暗転。数秒後に角と顔を覆っていたマスクは外れ、外れた角と、赤いポロシャツを着たダンサーが舞台に現れる。
そしてそのダンサーは黒い棒をしならせ、弓矢を放つようなジェスチャーをする。
つまり、狩られた鹿と狩った人が同一人物によって演じられているということなのだろう。
そして最後が「ALEKO」。
冒頭はアレクサンドラ・ジルベール(以下ジルベール)の髪で全身が隠れている状態で座っている。その髪の間から手や足を動かしてみせる場面は何かの動物を思わせるところは「毛皮のヴィーナス」に通じるところがある。
その後に登場するダミアン・ジャレとの格闘(髪でジャレを攻撃する)シーンのあと、ジャレに髪をつかまれたジルベールははさみで髪を切り離し、その後死んでしまう。
ジルベールの死に気づいたジャレは、ジルベールの衣服の一部を口で引き上げては振り回し、屍と踊る…といった感じの内容。
この三作品の中で一番面白かったのがこの「ALEKO」。特に冒頭のジルベールの髪の間から手とつま先を出して動かすあたりと最後の屍とのデュオダンスはものすごくスリリング。
あえて「口」で衣服を引き上げて、相手を動かすというところに前2作品に流れている「動物的」「獣的」な何かがここでも見られる。
ときに動きの流れを補助する形で動きはするものの、基本的に脱力した状態の相手と動くわけ。そういった人と物の間とのダンスが生み出す動きが、観ていてぐっと来た。
それにしても、20日の山田うんといい、今日といい、正味1時間のダンスだけどもっと短く感じた。それだけ集中して観られたということなんだろう…。
最後はベルギーのダンサー・コリオグラファーであるシディ・ラルビ・シェルカウィとダミアン・ジャレ、アレクサンドロ・ジルベールによるダンス3編。
演目は以下のとおり。
「毛皮のヴィーナス」:振付 ダミアン・ジャレ
出演 アレクサンドラ・ジルベール
「VENARI」:振付・出演 ダミアン・ジャレ
「ALEKO」:振付 シディ・ラルビ・シェルカウィ+ダミアン・ジャレ
出演 ダミアン・ジャレ+アレクサンドラ・ジルベール
以下ネタバレあります。
「毛皮のヴィーナス」は10分と非常に短い作品。舞台中央の床に謎の毛皮の物体が出てきて、もぞもぞと動いているうちに、素足がするりと伸び、続いて人の胴体がずるっと出てきて、最後には毛皮と格闘の末、脱皮し、美しい黒いドレスの女になる、という作品。
冒頭の毛皮をかぶった何かが手を伸ばし、動くさまは、はじめからだのどこがどのように動いているのか分からなかった。手にあたる部分が開いたり閉じたりしているときは、毛皮だと分かっていても海洋生物の何かに見えてしまった。
最後の毛皮を振り回し、引きずり回すところは、出産のようでもあり、ムリヤリ毛皮を引き剥がされているようでもあり、そこにあるイメージは、美しくはあるものの、普通のコンテンポラリーダンスに見られるような抽象的なものではなく、もっとリアルでグロテスク。さらにラストで「ふふっ」と笑って舞台袖に去っていくのは、何ともいえず恐い。
「VENARI」というのは、ラテン語で「狩をする」という意味。「毛皮のヴィーナス」の冒頭で毛皮が置いてあったあたり(だったと思う)に、今度は鹿の角と思しきものが置いてある。そして下手から出てきたダンサーがそれに覆いかぶさったりしているうち、暗転ののち、それを頭にかぶる形になる。といっても頭には角があるが、顔は分からない。
その状態で舞台上で動き回っているうちに、いきなり大きな音がし、暗転。数秒後に角と顔を覆っていたマスクは外れ、外れた角と、赤いポロシャツを着たダンサーが舞台に現れる。
そしてそのダンサーは黒い棒をしならせ、弓矢を放つようなジェスチャーをする。
つまり、狩られた鹿と狩った人が同一人物によって演じられているということなのだろう。
そして最後が「ALEKO」。
冒頭はアレクサンドラ・ジルベール(以下ジルベール)の髪で全身が隠れている状態で座っている。その髪の間から手や足を動かしてみせる場面は何かの動物を思わせるところは「毛皮のヴィーナス」に通じるところがある。
その後に登場するダミアン・ジャレとの格闘(髪でジャレを攻撃する)シーンのあと、ジャレに髪をつかまれたジルベールははさみで髪を切り離し、その後死んでしまう。
ジルベールの死に気づいたジャレは、ジルベールの衣服の一部を口で引き上げては振り回し、屍と踊る…といった感じの内容。
この三作品の中で一番面白かったのがこの「ALEKO」。特に冒頭のジルベールの髪の間から手とつま先を出して動かすあたりと最後の屍とのデュオダンスはものすごくスリリング。
あえて「口」で衣服を引き上げて、相手を動かすというところに前2作品に流れている「動物的」「獣的」な何かがここでも見られる。
ときに動きの流れを補助する形で動きはするものの、基本的に脱力した状態の相手と動くわけ。そういった人と物の間とのダンスが生み出す動きが、観ていてぐっと来た。
それにしても、20日の山田うんといい、今日といい、正味1時間のダンスだけどもっと短く感じた。それだけ集中して観られたということなんだろう…。
by turujun
| 2008-03-22 14:00
| ダンス