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舞台や展覧会など、さまざまな鑑賞活動の記録を綴る。タイトルとの関連はありません。


by turujun
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東京デスロック「演劇LOVE 愛の三本立て」@リトルモア地下

はじめてみる劇団。三本立てのうち、「三人いる!」を観る。萩尾望都の「十一人いる!」にインスパイアされた、ということで興味をもったので。

リトルモア地下のギャラリーは結構演劇で使用されている場所ではあるものの、本当に小さい空間。照明設備も十分にあるというわけではないので、逆に少人数、かつシンプルなつくりで劇空間を立ち上げる、みたいなチャレンジ精神をもった人のやる気をかき立てるものがあるのかもしれない。




【以下ネタバレあり】











話の内容としては、とある男の家に、見知らぬ男が入ってくる。その男は自分こそがこの部屋の主であると主張する。互いに話をしていくうちに、通っていた学校、大学で所属していたサークル、昔の彼女の名前など、本人でなければ分からないさまざまな過去の情報全てが一致していることが判明。互いに自分こそが本当の自分で、お前はニセモノだろう!といい始める。そのうち、その日友達の家に飲みに行く約束をしていたということで、どちらが本物か友達に会って決めてもらおう、という話になり、友達の家に行ってみると、そこでもまた同じ事態が起こっていた…というもの。
終演後の説明(ポストパフォーマンストークとも言う)で、「十一人いる!」と全然内容違うじゃん、と出演者の一人であるハイバイ・岩井氏に突っ込まれていたが、まさにそのとおり。むしろ真逆の内容だった。

作品の内容としては、舞台上には最大で6人ぐらいいることになっているシーンもあるのだが、それを最大でも三人でやる。またややこしいことを試みるなあ、と思ったが実際観ていると、ややこしいといえばややこしいが、きっちりと筋を通して作っているというか、舞台上の人が増えていく過程でどういう構造で役者がいくつもの役を演じていくかをきちんと理解させてくれるので、混乱はない。
そして作品の構造がわかってくると、その役者の話し手の主体がどこにあるのか、いま誰が誰を演じているのかがわかっていて、その変化を楽しめるようになってくる。

今回の作品を観ただけでは断言はできないのだけど、この劇団の主宰であるところの多田さんにとっては、演劇という手段を使って何かしたいというわけではなく、演劇そのものとがっぷり取り組みたい人なのかなあ、という印象を受けた。

ものすごく新しい、というわけではないけど、ものすごくチャレンジ精神があることは間違いない。また観てみたい。
by turujun | 2007-10-06 17:00 | 演劇