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舞台や展覧会など、さまざまな鑑賞活動の記録を綴る。タイトルとの関連はありません。


by turujun
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G-upプロデュース「散歩する侵略者」@新宿シアター107

局地的にうわさのイキウメ(この名前も凄いよね)。本公演は来年とのことなので、まずは、イキウメで初演された、この作品を観ることにした。

劇場内に入ると、手前上手側に一軒家、下手にアパートらしきものがある。そしてその後ろに上手から下手へつながる一本道と、その道の真ん中に舞台奥へ行く通路(これは病院へとつながる道らしい)がある。一見普通っぽいのだが、その家とアパートはリアルに作られているのに、その後ろの道から奥は、その道の部分以外何もないので、そのギャップが大きい。

さて、話しはというと、舞台は隣国との臨戦態勢に入っていて、いつ戦争が起きてもおかしくはないような状態になっている2008年の日本の夏のとある田舎町。この町に来るためには、もはや陸路しか手段がないような、そんな危機的状況に置かれている。
この物語は、そんな、目の前に明らかな危機の中にあるその町の人々が直面する、得体の知れない別の危機の物語だ。

その物語に、私は観ている間はどんどん引き込まれていった。役者さんも皆、力のある人たちなのだろう、安定した演技をしていたと思う。(小林顕作は叫びすぎだと思うが)でも、見終わって色々考えてみると、なんだか噛み締めているのが悔しいような気持ちが湧いてきた。冷静になればなるほど、何かにだまされていたかのような気分になっていった。

それは一体なんだったのだろう?とそのうち考えるようになった。

その中で行き着いたのは、「概念」を失う、という発想は面白いのだが、そこから何を導き出していくのか、と言う部分で、面白いのだけど、提示しているものが意外と普通である、というところなのではないかということ。危機の中の危機、概念の喪失、という大きなフレームの中でなら、もっと違ったものを提示できたのではないかと思うし、それを私は求めているのだけど、実際にそこに出てきたのは、「人間愛」。「人間愛」を描くことは全く持って否定しない。でも、全てが破壊されながらも、その中で新たな関係、新たな価値を見出していく人間の姿さえ描いているス展開のわりに、最後に描かれるところの愛が、思いのほか安直であったところに不満があるのだ。もっと違った形で提示できるものがあるだろうになあ。

あと、安直、という話でもう一つ書いておく。何でこの作品ではあんなにBGMを多用していたのだろう?場面によっては無理やり音楽で盛り上げているようなところもあり、ずいぶんと乱暴なことをするものだと思った。
 赤堀雅秋って私の記憶の中では、こんな音楽の使い方はしていなかったように思うのだが、しばらく観ないうちにそういう方へ変わってしまったのだろうか。そうだとしたらとても残念でならない。
by turujun | 2006-06-04 14:00 | 演劇