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舞台や展覧会など、さまざまな鑑賞活動の記録を綴る。タイトルとの関連はありません。


by turujun
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鷺娘・日高川入相花王

この日は、午前中に家を掃除していた際に、腰を痛め、昼過ぎまで安静にしていたのだが、2時を回ったころにようやく痛みも治まってきたので、外出することにした。

電車に乗ったのは3時前。舞台を観るにもいかにも中途半端な時間だったので、どうしたものかと思いながら、有楽町に降り立った。
銀座の方へ歩いていき、歌舞伎座を通り過ぎると、目の前に東劇が。近づいてみると「シネマ歌舞伎」とある。演目は「鷺娘・日高川入相花王」。
「鷺娘」は一度生で観たことがあるような気がするが、2本立てで1000円だし、安いから見てみよう、ぐらいの気持ちで入った。

長い長い予告編のあと、まずは、「日高川入相花王」。これはすごく面白い。出てくるのが、三人のうち二人が皆人形の役。残りの一人の役名は「人形遣い」。人形浄瑠璃を歌舞伎舞踊化したものなのだそう。
坂東玉三郎が演じるのは主役の清姫。この清姫を尾上菊之助演じる人形遣いと黒子が操っているような形で見せていく。

内容は、清姫が、恋する安珍を追って日高川の渡し場にたどり着いたが、、船頭はどう頼み込んでも船を出してくれない。「船を出して」「出さない」という押し問答の末、安珍への嫉妬と恨みの激情を燃やす清姫はついに川へ飛び込み、最後には竜になる、というもの。

玉三郎は、腕や体の動かし方が、実際に操られている人形のようなのだけれど、ふとした瞬間に、自らの意思で自在に舞っているように見えるときがある。また時折、人間とも人形ともつかないようななまめかしくも恐ろしい、狂気をはらんだ表情を見せるときがあり、映像で観ているにも関わらず、ゾクゾクしてしまう。人形のようなのだけど、人形ではない、でも人間でもない不思議なものを見ている感覚を覚えた。

それにしても、この作品が私にとって面白かったのは、人形浄瑠璃を歌舞伎舞踊にしたといえ、わざわざ人形遣いまでちゃんと舞台に載せるという作品の構造そのものである。人形遣いの動きは、本当に「人形を操っている」ということ以外、見せ場らしいものがなく、どこまでも「人形遣い」であり続けるばかりだし、船頭役の人はご丁寧にもつくりものの眉毛をつけて、それをカクカク動かして表情をつけるという芸の細かさである。どこまでも「人形っぽさ」を追求するコダワリはどこから来ているのだろう、と思う。
歌舞伎舞踊の「人形振り」では、これがスタンダードなのだろうか??気になる。

一方、「鷺娘」は、昨年も生で観ているにもかかわらず、「これがかの有名な…」とお勉強気分になってしまったのだが、今回映像で観ていても、やはりお勉強気分になってしまった。この踊りのツボが私には理解できないらしい…。

舞台は映像で観るのはどうなのだろう、と基本的には思っているが、今回のシネマ歌舞伎は、「ゲキ×シネ」みたいに、舞台の映像を再構成して新たな作品を創る、というわけにはなかなかいかないけれど、結構工夫されていたと思う。何より、日ごろよく観ることのできない役者の体の動きや表情が良く分かったことが、一幕見席が指定席の私としては、一番うれしかった、かな。
by turujun | 2006-04-23 17:00 | 演劇