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舞台や展覧会など、さまざまな鑑賞活動の記録を綴る。タイトルとの関連はありません。


by turujun
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ぺピン結構設計「東京の米」@東京芸術劇場(池袋)2月24日夜

 以前からちょいと気になっていたぺピン結構設計を観にいった。今回の公演は東京国際舞台芸術祭のリージョナルシアターへの参加だったり、チラシがかわいかったり、戯曲が何かの賞を取っていたりして、ぺピンへの興味がいやがおうにも盛り上がろう、というものだったのだ。はたして、実際の舞台はどうだったか。 
 「創り手が今自分達の力量で出来る範囲で、やりたいことをやっている」、一歩間違えば巷に溢れる内輪受けの舞台になりかねない危うさがありつつ、ぎりぎりのところで踏みとどまっているな、という舞台だったと思う。
 チラシや、インターネット予約者への特典(オニギリズムのレシピ付きおにぎりセットといった企画からもそのセンスの良さは分かるのだが、そのセンスのよさが舞台そのものの隅々に行き渡っているかというと、その部分で「?」だった。オープニングのCGとか紗幕の向こうの東京タワーの模型とかに、そのセンスのよさを感じたのだけど、全体として、会場のサイズに対して、作品が負けてしまっていたと思う。一番見ていて辛かったのは、「ここでこう言って…ここへ動く」みたいなぎこちなさをほぼ全員の役者に感じてしまったこと。また、映像の使い方や演出にしても、「どこかでみたような」感じをぬぐえなかった。伏線の本筋への絡みがゆるい感じがして、クライマックスで、もっと切ない思いを抱いても良さそうなのに、細部への演出が足りず、物足りない思いをした。
 否定的なことばかり書いていながらも、私はこの団体を「また観たいリスト」に入れることにした。というのも、なんだかんだいいながらも、戯曲における登場人物のキャラクター設定や、前述の映像や舞台美術のセンスの良さ、物足りないとはいいながらも、イマドキのポップさを感じさせる演出は、また見てみたいと思えるものなのである。何より心に残るのは、米屋の3兄弟と米を生む女柳子の繰り広げる「電車コント」。かつてカクスコがみせてくれたような「楽しい時間」がそこにはあった。
 
by turujun | 2004-02-25 14:58