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舞台や展覧会など、さまざまな鑑賞活動の記録を綴る。タイトルとの関連はありません。


by turujun
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分からないと、だめですか?

昨日観に行ったダンス公演でのこと。休憩時間に私の斜め後ろにすわっていた男性が、「これの言わんとしていることが分からない」「こんなだったらミュージカル観に行きたい」「テレビとかCMみたいに分かりやすくなきゃ意味ない」とさかんに連れの女性に愚痴っていた。それは確かに抽象的かつ掴み所のない作品ではあったので、気持ちは分かるのだが、その一方で、あまりに感情的な物言いで、連れの女性がたいそう気の毒だった。
その作品がどうであったかはさておき、私が気になったのは、彼の怒りは、作品の出来不出来ではなく、目の前で展開していることを自分が理解できないことに対してであること、そして自分が分からないということゆえに、目の前の作品を否定もしくは拒否しているということだ。
 世の中には「わかっているべきこと」「分からないでは済まされないこと」が山とある。そんな中で、舞台芸術は、良し悪しだけで切り分けるのではなく、その間や周りにあるさまざまな反応がそのままに受け入れられる数少ない場なのではないか。何かの舞台を見て「面白い」と思う。「つまらない」と思う。「かっこいい」と思う。「ダサい」と思う。これらの明確な反応と同じように「分からない」と思うのも、私的にはありだ。だから、「分からないこと」を否定的にとらえるのではなく、それはそれと受け入れてもらえると良いのだが、どうでしょう?観客が舞台について語るのは、自由だけど、それが感情的なものであることは、創造的な面で何ももたらさないばかりか、周りの人を傷つけたり、イラッとさせたりするだけなので。
  この件でもう一つ思ったのは、「分からない」ことに対する恐れ、それは作品を見て何かを恐れるというよりも、「分からない」事実が他人からの自分の価値を下げるとか、自尊心を傷つけられるのではないかという方向での恐れがあるのではないか、ということ。これについては、なかなか微妙。心理学の世界だと、こういうことは割と研究されていたりするのかしら?
by turujun | 2005-03-28 08:44 | ダンス