舞台や展覧会など、さまざまな鑑賞活動の記録を綴る。タイトルとの関連はありません。


by turujun
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<   2008年 09月 ( 6 )   > この月の画像一覧

今年の春、ちょっとしたきっかけで観た阿部初美演出作品である「エコノミック・ファンタスマゴリア」。私が観たのはリーディング公演だったのだが、非常に興味深く観た。
そのときにこの「アトミック・サバイバー」が上演されることを知り、今回観にいってきたわけだが、とりあえず“川崎”とはつくものの、ここは遠い!小田急線に揺られて30分近くかかるのだ。川崎というと最寄り駅から1駅という印象があるのに、なぜにこんなに遠いのか…と以前思ったが、今回もやっぱりそう思った。

さて、「アトミック・サバイバー」は、タイトルに「アトミック」とあることからもしや…とお分かりになるかもしれないが、「原発」のお話。基本的な流れとしては、核燃料再処理工場のPRセンターにおける説明ツアーのようなものを模し、現在の原発のありようについて、できるかぎり中立的な立場で描いた作品だ。

つまり、これはドキュメンタリー演劇というジャンルに入る作品なのだが、先達ともいえる坂手洋二のそれとは少々傾向が違う。おきた事実を再現・再構成し提示するだけではなく、映像や音楽といったさまざまな要素をミックスさせて、リアルさ以上に、作品として「見せる」ことの重要性を大切にしたつくりになっている。
そういった映像と演劇との融合というものがうまく作用しているかどうかは別として、演劇部分だけを取り上げてもこの作品は面白い。

詳細は後日…
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by turujun | 2008-09-27 15:30 | 演劇
現在の仕事に直結するテーマであるために非常に興味があり、かつボスに「見に行くように」命令が飛んだこともあり、見た。

公開2週目に突入後、祝日の昼とはいえ、250席以上ある映画館は9割がた埋まっているという盛況ぶり。年代は男女同率ぐらいとはいえ、30代以上のいわゆる「大人」が大半をしめている。当たり前といえば当たり前か。

モントリオール世界映画祭(ニュースでは「国際映画祭」とあったような記憶が…)でグランプリを獲ったことでにわかに注目を浴びているものの、この映画自体のトーンはすごく淡々としており、非常に地味な映画。賞を獲らなかったら知る人ぞ知る名画として語り継がれるものの、こんなヒットはありえなかったと思う。人でも何でもそうだけど、運って大事だな。(私は公開するまでこの映画はミニシアターでしか上映されないと思っていた)
しかし、そこに取り扱われているテーマは、私自身が最近とみに意識するものであり、全ての人にとって切り離すことのできない「死」の問題。(別に私が大病していて死にそうだ、ということではありません。)

生きていたら、身近な人との死による別れも避けては通れないもの。身近な人の遺体は、火葬されて、埋葬されてもなお特別な存在に思う人が殆どだろう。
その一方で、その人を弔うに当たり、その遺体を取り扱ったり、葬式を執り行う職業に対する認識というのは決してよいものではない。いわゆる「人気職業」に上がってくることなどないというのが現状だ。

この映画で描かれているのもまさにそんな現状の中にある「納棺師」の見習いだ。
この映画で最も感銘を与えることは、世間体の悪い「納棺師」という仕事に、やむを得ず就いたにもかかわらず、その仕事の素晴らしさを見出し、世間の冷たい仕打ちに耐えながら、納棺師として成長していき、その仕事ぶりにより、周りの認識を変えていくさまだ。
映画の前半こそ本木雅弘のナレーションが少々うるさく感じられるが、後半から終盤は、ずっと映像の中にいる人々の会話により構成されるシーンで描き出される主人公と彼を囲む人々の変化が描かれる言葉と役者の演技そして映像の融合で描かれるさまにぐっとひきこまれてしまった。
ヘビーなテーマをコミカルな場面と、シリアスな場面のメリハリを効かせて描き、それゆえに重くなりすぎない仕上がりとなっている。気持ちよく笑って、ときどき落涙。見終わった後、とても良い気分で映画館を出られるのだけど、のちのちいろいろと考えさせられる映画だった。

印象的なポイントはいくつもあるが、この作品の魅力的な要素の一つとして、何と言っても舞台となる山形・庄内エリアの素朴で美しい光景と、建物の美しさがあげられる。特に主人公が石を拾いに来たり、河岸でチェロを弾いたりする川のあたりは昔の日本の風景、という趣で、特に印象深い。また、NKエージェントが入っているビルが趣深いレトロビル。「おくりびと」ロケ地巡りに行きたくなってしまった。

また、この映画の中で面白いのが、鳥の使われ方。主人公が初仕事を終えた後の夕飯の食卓に上がったのが、つぶしたての鶏肉。死んだ鳥のにごった目を見て、主人公の脳裏に初仕事での光景が呼び戻されてしまってしまう。一方、後半あたりに出てくるNKエージェント一同(といっても3人)でのクリスマス会では、社長・主人公・事務員の3人で、フライドチキンをものすごい勢いでたいらげていくという場面がある。ここでの食べっぷりはまさに「ペロリとたいらげる」といった表現がぴったりくるほど、主人公をはじめ皆が美味しそうに食べる。かたや未調理・かたや調理済というちがいはあれどこの変化は、主人公が単に死体と向き合う「納棺師」という仕事に戸惑っていた初期から、仕事を経験するにつれ、仕事の意義ややりがいに目覚めたことで、死んだ鳥を美味しくいただけるようになったことが感じられた。
映画の中で山崎努演じる社長が「人間は死んだものを食べて生きている。だから食べるからには美味しく食べる」といったようなことを言っており、それを聞いて主人公が腑に落ちた表情をしていたが、そのことがまさに体現されているシーンだった。

※豆知識。東京近郊では「納棺師」という職業は現在存在していないらしいのですが、映画の舞台である山形を含む東北地方では現在も活躍しているそうです。
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by turujun | 2008-09-23 15:20 | 映画
ピチチ5の主宰・福原氏のチラシのあいさつ文が気になって、急遽観劇することにした。今回が初見。

出演者が誰なのか今ひとつ把握せずに言ってみたら、猫のホテルの千葉雅子が出演していた。これにはびっくり。

この作品はとりあえず3本のコントで構成されていて、それぞれに思いも寄らない大仕掛けが用意されている。
作品自体は、役者のテンションがまずまず高いものの、それがあまりかみ合っていなかっただけにコントとしては不発の感は否めない。これがもっと噛み合っていけばまた全然違うのだろう。
ただ、この作品中の大仕掛けはバカバカしくもあり、清清しくもあるほどのスケール感でそこには感銘を受けた。
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by turujun | 2008-09-15 23:24 | 演劇
以前から名前だけは知っていたけど、社会派でふざけてるというその作風のウワサを聞いていて、今ひとつ観劇に踏み出せずにいた私。今回佐藤佐吉演劇祭のキャッシュバック(どんな企画かはこちらをどうぞ)というご縁でもって観にいくことにした。

実際作品の中身は、まさに社会派。コネタ的にギャグは入ってくるものの、殆どガチンコといってよいほど「死刑」「少年犯罪の取り扱い」をはじめとする犯罪者と現代社会のかかわりに関する問題に真正面から取り組んでいる真面目な作品だった。



観ている間「ネズミ」とこの作品の間にどんな関係があるのか、それが今ひとつ分からなかったのだが、今日ピチチ5の公演でもらったチラシ束の中に、この公演のチラシがあって、それを見て謎が(私なりに)解決した。うーん、奥深い。
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by turujun | 2008-09-14 19:30 | 演劇
青年団演出部所属の人が監督したという映画作品。
キャストは全て青年団で占められている。

内容は、3つの小品で構成されている。
1話目は、ダンス公演をきっかけに出会った女性2人が、その公演の出演者であるダンサーからサインをもらうべく、町を駆け回る話。
2話目は、一人のアマチュアカメラマンが個展を開く話。
3話目は、とある新婚夫婦の夫が、交通事故で右腕を失ったことで、幻視症に悩まされるという話。

一つひとつの話は独立したものでありながら、登場人物が別の作品にもさりげなく登場し、この映画の世界は3つの物語世界が共存しているものであることが分かる。

時間を計っていたわけではないが、3本のうち、最後の幻視症の話がことに長い。前2本の1.5倍ぐらいあったのでは。

青年団ということで、監督自身はそうではないといっているが、やはり青年団テイストを感じさせる作品だった。とはいえ、青年団に比べ、話の展開やエピソードにちょっと強引なものが多く見られた。

個人的な感想としては、私自身、写真ではないけれど、これに近い状況を目の当たりにし、その様子に対して言葉にはしないものの、強い疑問を抱いていただけに2話目がかなり考えさせられた。(とはいえ、この話に出てくるほどに、「作品を発表すること」に無邪気になれる人もいそうで、実はそうそういなさそうな気がする…とも思った。描き方にちょっと悪意がありすぎなのでは。)
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by turujun | 2008-09-13 16:00 | 映画
先日観た柿喰う客「俺を縛れ!」に出ていた役者が花組芝居の人ということと、今まで観たことがなかったのもあり、はじめて花組芝居にトライした。
出演者は皆弾性と言うこともあり、会場は女性が9割ぐらいを占めていた。ひさびさだな、演劇は女性の愛好者が多いイメージがあるけど、実際にはそうとも限らないという事実を体感しているだけに
今回の状況はむしろ新鮮だった。

さて、「ネオ歌舞伎」を標榜している花組芝居。一体どんなものなのかは想像がつかなかったが、なるほど出てくる人が男性のみ、見得も切ったりするあたりは確かに歌舞伎っぽくありながらも、舞台中でのセリフや小道具には遊びが随所に見られて、現代的なユーモアも織り込まれている。
加えて牡丹の意匠があしらわれた舞台セットは歌舞伎とは違うモダンな雰囲気を湛えており、確かに「ネオ」なわけだと思った。



余談だが、「牡丹灯籠」は、その題名とジャンルは怪談ということだけは知っていても、実のところ内容は殆ど知らなかった私。だいいち、この原作は、落語なのだということだって知らなかった。
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by turujun | 2008-09-04 13:00 | 演劇