劇団どくんご「ただちに犬 Deluxe」(執筆途中)
2009年 09月 21日
「劇団どくんご」の旅公演の情報を知ったのが今年の7月ごろで、そのころには東京公演が終わっていたこともあり、この日を何気に楽しみにしていた私。
JRとバスを乗り継ぎ乗り継ぎ(これが一番料金が安いということなので…)浦和美園に到着すると、一見駅前には何もないようだが、ほどなくポスターを発見し、会場となるテントに到着。
受付は中が見えないようになっているが、中の人がちょっと不気味な扮装をしていることが分かる。
さて、座席に行くと、そこには開演10分前で、8割がた座席が埋まっているという盛況ぶり。私はこの劇団の公演チラシを他の公演でほとんど見なかったので、この人たちがどういう経路でやってきたのかがまったく分からず。
なお、会場整理をしている人たちも、それぞれに変わった扮装をしている。その人たちに促されて席に座ってはじめて舞台上を見ると、天井からは赤いピンチハンガーから無数の赤いハイビスカスのレイが下がっており、視界は赤・赤・赤で埋め尽くされている。
下手側では、「お店」と看板が出ていて、含み綿をして手ぬぐいをかぶりひょっとこっぽくなった女の人が店番をしている。この人は青年団的に上演前から舞台上にいる人かと思いきや、実際に「物販」をしていたことが後に判明する。
さて、舞台が始まるとこの物販の人も会場整理の人も、チケット受付の人も皆舞台上に上がり、要は俳優もスタッフ兼任であること、だからこそのあの変わった扮装であることが分かる。
内容は、基本的には5人の役者とが舞台上で「語る探偵」というお芝居を繰り返し演じていくだけだったりする。しかもその内容が、舞台上にいる5人の役者がかわるがわるに探偵としていろいろ推理を述べ最後に「犯人は…お前だ!」と決め台詞をいうというもの。それが回を重ねるごとにどこかしら変化していき、最後には決め台詞まで変わったりする。この「語る探偵」の合間になぞの小芝居があったり、役者それぞれのソロパフォーマンスがはさまれていく…という構成だった。
さて、この舞台上には、役者のほかに犬のぬいぐるみがいるのだが、その位置づけは特に決まっておらず、探偵を演じる役者ごとに「おかみはん」だったり「社長」だったり「マリアンヌ」だったりと、いろいろなものに見立てられる。そして舞台が進むにつれ、中のあんこ(クッションや手袋やスカーフや下着などのいろいろなアイテムが詰まっている)が取り出され、最後は皮のみになってしまう少々可哀想な存在なのだ。
ソロパートはそれぞれの役者が自分のテイストで作っているのかな…という印象なのだが、私が個人的に良いと思ったのはひょっとこっぽいお姉さんの一人人魚姫。冒頭の「15歳になってお姉さんたちと一緒に初めて水面にあがる」くだりは東北の方の方言(だと思うと、泳ぎの身振りがあいまって、本当に可愛いったらない!
この作品は、テント芝居ということもあり、一見「アングラ…」なのだけど、それにしては役者の数も少ないし、舞台上の物の量は多いけど、構造はいたってシンプル。内容も強い主義主張があるというよりは、アクロバットがないけどこてこてな笑いはあるシルク・ド・ソレイユみたいな感じの内容(この表現もいかがなものかと)。
私の数少ないながらのアングラ的芝居といえば、自身の培ってきた表現やイメージにこだわるあまりに、それ自体がもう時代とはそぐわないようなものになってしまっているというものだったのだが、劇団どくんごは、アングラ的なものと、「あなたがた、パフュームですか!?」というようなイマドキなものを、ともにひとつの要素として取り込んでいたのが非常に興味深い。
趣味の合う合わないを越えて、ひさびさに見ごたえのあるものを観たな…と思ったのだった。
しかし、いくらなんでも、浦和美園は遠い…。
この公演の驚きどころは実は、その客層の幅広さ。子供が結構いる。そして年配の人も。しかもみんなちゃんと楽しんでいる風だった。アングラっぽいのに間口が広いよ、劇団どくんご。
その間口の広さはどことなく「見世物小屋」っぽいところがあるからなのか?
JRとバスを乗り継ぎ乗り継ぎ(これが一番料金が安いということなので…)浦和美園に到着すると、一見駅前には何もないようだが、ほどなくポスターを発見し、会場となるテントに到着。
受付は中が見えないようになっているが、中の人がちょっと不気味な扮装をしていることが分かる。
さて、座席に行くと、そこには開演10分前で、8割がた座席が埋まっているという盛況ぶり。私はこの劇団の公演チラシを他の公演でほとんど見なかったので、この人たちがどういう経路でやってきたのかがまったく分からず。
なお、会場整理をしている人たちも、それぞれに変わった扮装をしている。その人たちに促されて席に座ってはじめて舞台上を見ると、天井からは赤いピンチハンガーから無数の赤いハイビスカスのレイが下がっており、視界は赤・赤・赤で埋め尽くされている。
下手側では、「お店」と看板が出ていて、含み綿をして手ぬぐいをかぶりひょっとこっぽくなった女の人が店番をしている。この人は青年団的に上演前から舞台上にいる人かと思いきや、実際に「物販」をしていたことが後に判明する。
さて、舞台が始まるとこの物販の人も会場整理の人も、チケット受付の人も皆舞台上に上がり、要は俳優もスタッフ兼任であること、だからこそのあの変わった扮装であることが分かる。
内容は、基本的には5人の役者とが舞台上で「語る探偵」というお芝居を繰り返し演じていくだけだったりする。しかもその内容が、舞台上にいる5人の役者がかわるがわるに探偵としていろいろ推理を述べ最後に「犯人は…お前だ!」と決め台詞をいうというもの。それが回を重ねるごとにどこかしら変化していき、最後には決め台詞まで変わったりする。この「語る探偵」の合間になぞの小芝居があったり、役者それぞれのソロパフォーマンスがはさまれていく…という構成だった。
さて、この舞台上には、役者のほかに犬のぬいぐるみがいるのだが、その位置づけは特に決まっておらず、探偵を演じる役者ごとに「おかみはん」だったり「社長」だったり「マリアンヌ」だったりと、いろいろなものに見立てられる。そして舞台が進むにつれ、中のあんこ(クッションや手袋やスカーフや下着などのいろいろなアイテムが詰まっている)が取り出され、最後は皮のみになってしまう少々可哀想な存在なのだ。
ソロパートはそれぞれの役者が自分のテイストで作っているのかな…という印象なのだが、私が個人的に良いと思ったのはひょっとこっぽいお姉さんの一人人魚姫。冒頭の「15歳になってお姉さんたちと一緒に初めて水面にあがる」くだりは東北の方の方言(だと思うと、泳ぎの身振りがあいまって、本当に可愛いったらない!
この作品は、テント芝居ということもあり、一見「アングラ…」なのだけど、それにしては役者の数も少ないし、舞台上の物の量は多いけど、構造はいたってシンプル。内容も強い主義主張があるというよりは、アクロバットがないけどこてこてな笑いはあるシルク・ド・ソレイユみたいな感じの内容(この表現もいかがなものかと)。
私の数少ないながらのアングラ的芝居といえば、自身の培ってきた表現やイメージにこだわるあまりに、それ自体がもう時代とはそぐわないようなものになってしまっているというものだったのだが、劇団どくんごは、アングラ的なものと、「あなたがた、パフュームですか!?」というようなイマドキなものを、ともにひとつの要素として取り込んでいたのが非常に興味深い。
趣味の合う合わないを越えて、ひさびさに見ごたえのあるものを観たな…と思ったのだった。
しかし、いくらなんでも、浦和美園は遠い…。
この公演の驚きどころは実は、その客層の幅広さ。子供が結構いる。そして年配の人も。しかもみんなちゃんと楽しんでいる風だった。アングラっぽいのに間口が広いよ、劇団どくんご。
その間口の広さはどことなく「見世物小屋」っぽいところがあるからなのか?
by turujun
| 2009-09-21 19:00
| 演劇