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舞台や展覧会など、さまざまな鑑賞活動の記録を綴る。タイトルとの関連はありません。


by turujun
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演劇ユニットjorro「トライアウト」@王子小劇場

以前、ポツドール・三浦大輔氏が「面白い」と言っていたので、気になっていたjorro。たまたま先週観にいったヨーロッパ企画でもらったチラシ束の中にこのユニットの公演チラシが入っていたので、今回初めて観にいった。

舞台となるのは、よくある感じのバー。そこの常連がだらだらと会話をして、そのうちの一組のカップルの結婚祝い(この時点で結構経っているっぽい)パーティをする…という一場ものの作品。
短いワンシーンと暗転が何度も繰り返されることで舞台が展開していく。
衣装替えがあまり無いので分からなかったが、最低でも3年の月日が流れていることになっていたようだ(作品中で25歳の誕生日を迎えた人が、最後の方のシーンで、「28歳になった」という場面があったので)。
はじめのうち、細切れのシーンが暗転をはさみ淡々と続いていくわりに、新しい人間関係がどんどん出来上がっていく様に少々戸惑った。


当日パンフに、この作品の台本には台詞がないこと、エチュードで作品を作りあげていったということが書いてある。そうしたつくり方をしているからか、非常にリアリズムを大切にした作品になっていた。雰囲気としては、人間を露悪的に書かないポツドール、といったところ。描いている人々の姿はかなり似ているけど、現在のポツドールがかなりリアルさを大事にしつつも、マスレベルで考えたときに「よくある」とはいえないものを取り上げているのに対し、jorroが作りあげるのは実際に十分ありうる世界。舞台上での日常の再構成、と言ってよいと思う。しかも「よくある」日常の再構成が、舞台として面白い。これは五反田団やポツドールを観たときにも思ったことではあるのだけど、この二つの劇団に比べて、jorroはよりリアルな、あたかもそれが目の前で起こっているかのようなシーンを立ち上げることに力を注いでいるように思えた。
彼らにはリアルさを徹底的に追求しつつ、みせものとして成立させる確かな手腕があると思う。それを使って今後どのような作品を作っていくのか、何を表現していくのかということが気になるところ。また観にいってみたい。



余談だが、これを観て思い出したのは、ポツドールが以前やっていた「セミドキュメント」。私は観ていないので、これどんなものかは分からず、言葉の感じからして似てるものなのかしら…と思うにとどまっている。非常に残念。
by turujun | 2007-05-12 19:00 | 演劇