舞台や展覧会など、さまざまな鑑賞活動の記録を綴る。タイトルとの関連はありません。


by turujun
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五反田団は切ない

 五反田団は、ソニー本社のわりと近く在住の前田司郎率いる劇団だ。この劇団の売りの一つは1500円というチケットの安さ。映画より安いじゃん、ということだけで、ではないが、私はこの劇団が好きだ。
 今回私が観たのは、五反田団の新作「いやむしろわすれて草」。これまでの作品のタイトルをちょっと挙げてみると「逃げろ女の人」「びんぼう君」「動物大集会」。人を食ったようなタイトルは、この劇団の作品の特徴の一つとも言える。
 この作品は、脚本・演出の前田司郎いわく、「若草物語」がベースになっている、らしい。確かにメインは4人姉妹。でも、若草物語かといわれたら、ほのかにそうかな、と思わせる部分はあるものの、基本的には日本のフツーの家族の物語といっても差し支えなかろう。
 そんな話のどこが切ないかというと、それはストーリーではなく、その作品中の姉妹の会話やその状態だ。この作品は、病弱な3女の子供時代の部屋と大人になってからの病室でのやりとりで構成されている。そこで繰り広げられる会話は、姉妹であれば、覚えのありそうな、ののしりあいあり、小突きあいありの、かなりリアルなもの。特に子供特有の論理的整合性の無い言い合いが、年長の姉によって仲裁されたときの妹の態度とか、理由もなくだだをこねてしまう人とそれを取り巻く人の様子は、なぜか美化されてるわけでもなく、カリカチュアとして描かれているわけでもなく、そのまま素直に提示されている。だからよけいに、他人事とは思えず、ぐっときてしまうのだ。
 私が一番「これって切ないよな…」と思ったのは、3女のミキだけが部屋に残されて、他の出演者が舞台袖に去っていき、舞台袖で会話している場面。それは、子供の頃、風をひいて外に出られなかったとき、布団の中で聞いていた、子供たちの遊ぶ声とその中に入れないでいる自分の気持ちを思い出させた。
 でもって、五反田団のいいところは、こういった寂しい、切ない気持ちだけ見せるのではなくて、女同士の会話のばかばかしさもしっかり出して笑いもとるところ。前田司郎の脚本は、家族とか、気のおけない友達同士の、素の状態で人に接しているときの、すきだらけの会話を創るのがやたらとうまい。そういう油断した会話が面白い、という感覚が彼にはあるんだろうな。
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by turujun | 2004-10-16 15:30 | 演劇