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舞台や展覧会など、さまざまな鑑賞活動の記録を綴る。タイトルとの関連はありません。


by turujun
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柿喰う客「露出狂」@王子小劇場

今日は、ひさびさの柿喰う客。出演者が皆女性、総勢14名とのこと。

タイトルがかなり強烈なので、「~を観にいく」などと、何も知らない人の前で言ってみたり、ツイッター上でつぶやくのは危険だなあとか思っている。

さて、この作品は、とある女子高のサッカー部が勝利を目指してチームワークを高めるために試行錯誤する…という話。こう書くと、なんとなく青春モノのような雰囲気が漂うのだが、スポ根青春モノによくありがちな、試合におけるドラマは大胆に端折り、タイトルがタイトルなだけにそんなことはまったくなく、柿喰う客だとおなじみのサブカル的なモチーフを、てんこ盛りにし、あくまで作り事、「演劇」としててんやわんやに見せている。

女子サッカーという女子スポーツとしてはずいぶんと泥臭い種目を選んでいながらも、舞台上にいる女優は皆「ギャルか!」と突っ込みたくなるような衣装に身を包んでいるので、話の中でサッカーの試合の話をしていても、それ自体にはまったくリアリティがない。そして、チームワークを高める手段として取る行為に関する言葉が何度となく劇中に出てきていながらも、言葉が出てくれば出てくるほどにリアリティがないのである。

このリアリティのなさは一体何なのだろう?と思わされる。

なお、本編後のアフタートークで作・演出の中屋敷法仁が語っていたから知った。そこで、「この作品を書くにあたり、あさま山荘事件とか、三島由紀夫の自決とかについても取材した」とのこと。しかし作品からはこれらを感じさせる要素は思い当たらないな…と思ったのだが、よくよく舞台を思い返してみると、本作は全体主義の話であったと思い当たることがかなりあった。
by turujun | 2010-05-23 14:00 | 演劇